株式会社 診断と治療社

【10月下旬発売予定】 甲状腺専門医ガイドブック 改訂第3版

甲状腺専門医試験の対策書としてはもちろん,日常診療の現場でも活用できる実践的なテキスト.主要な甲状腺疾患に加え,医療倫理,安全管理,リスクマネジメントまで,甲状腺診療に携わる専門医に求められる知識を幅広く解説する.「一般目標・到達目標」を明示したわかりやすい構成はそのままに,前版刊行後の診断技術・検査法の進歩,甲状腺眼症や甲状腺癌に対する新たな治療法の発展,各種ガイドラインや診療の手引きの改訂・発出など,最新の知見を反映した改訂第3版.
定価:
7,700円(本体価格 7,000円+税)
発行日:
2026/10/29
ISBN:
9784787827852
頁:
408頁
判型:
B5
製本:
並製
在庫:
在庫無し

序文

序文(改訂第3版)

 前回の改訂から8年を経て,『甲状腺専門医ガイドブック 改訂第3版』をここに刊行する.本書はこれまで,甲状腺専門医を目指す医師のみならず,日常診療で甲状腺疾患に携わる多くの医療者に活用され,わが国の甲状腺診療を支える実践的な指針として重要な役割を果たしてきた.
 この8年間に,甲状腺診療は格段の飛躍を遂げた.診断技術や各種検査法の精緻化に加え,治療の領域では,甲状腺眼症に対する新たな治療薬が登場し,甲状腺癌においても分子標的治療が急速に発展するなど,従来の診療体系を大きく変える進歩が相次いでいる.こうした変化に的確に対応するため,本改訂では,最新の診療ガイドラインやエビデンスを踏まえ,構成・内容を大幅に見直した.
 とりわけ,甲状腺腫瘍性病変については,近年の病理学的概念や診断上の進歩を反映し,大幅な改訂を行った.甲状腺癌に対する分子標的治療についても,その目覚ましい発展に即して内容を充実させている.また,周産期の甲状腺機能異常については,妊娠中の管理にとどまらず,プレコンセプションケアを含めた最新の知見を取り入れた.さらに,甲状腺と諸臓器・全身疾患との関連についても全面的に刷新した.潜在性甲状腺機能異常についても,日常診療で遭遇する機会が多く,近年その臨床的意義があらためて注目されていることを踏まえ,最新の知見を盛り込んだ.甲状腺専門医試験への対応も意識し,甲状腺診療の基本から最前線までを体系的に学ぶことができる,現在の甲状腺診療にふさわしい一冊となっている.
 一方,医学が進歩し,診断・治療の選択肢が増えれば増えるほど,専門医には単なる知識の蓄積を超えた判断力が求められる.検査値や画像所見だけを見るのではなく,その背景にある病態を深く理解し,患者の年齢,生活背景,妊娠・出産,併存疾患,さらには価値観までを踏まえて,最適な診療方針を選択することが重要である.専門医には,標準的医療を熟知したうえで,目の前の患者にとって何が最善であるかを考え続ける姿勢が求められる.
 本書が,これから甲状腺専門医を目指す若い医師にとって確かな道標となるとともに,すでに甲状腺診療の第一線に立つ医師にとっても,知識を更新し,自らの診療を見つめ直す契機となることを願っている.甲状腺学は長い歴史を有しながら,今なお大きく進化し続ける学問である.本書を手にした一人でも多くの医師が,甲状腺学の奥深さと面白さに触れ,わが国の甲状腺診療をさらに発展させ,その成果を次の世代へと引き継いでいくことを期待してやまない.

2026年9月
日本甲状腺学会 理事長
橋本貢士

目次

カラー口絵
序文(改訂第3版)
序文(改訂第2版)
序文(初版)
『甲状腺専門医ガイドブック 改訂第3版』の活用について
各項目研修目標一覧
編集委員会・執筆者一覧
略語一覧

Ⅰ 甲状腺の基礎
1.解剖,組織学
2.甲状腺ホルモンの合成
3.甲状腺ホルモンの分泌調節
4.甲状腺ホルモンの代謝
5.甲状腺ホルモン作用
6.甲状腺と自己免疫
7.甲状腺と放射線
8.甲状腺におけるヨウ素の役割とヨウ素代謝
9.甲状腺とヨウ素代謝

Ⅱ 甲状腺の臨床

総論
1.疫学
2.甲状腺疾患の診かた:病歴の聴取と理学的所見(身体所見・甲状腺所見の取り方)
3.甲状腺疾患の分類
4.甲状腺疾患の診断
 ①甲状腺機能検査
 ②甲状腺ホルモン輸送蛋白
 ③甲状腺自己抗体,サイログロブリン
 ④画像診断
  1)超音波
  2)甲状腺腫瘍と紛らわしい超音波所見
  3)CT,MRI
  4)シンチグラフィ
  5)FDG−PET/CT
 ⑤細胞診・組織診
 ⑥遺伝子診断
5.甲状腺疾患の治療
 ①薬物治療:非悪性疾患
 ②薬物治療:悪性疾患
 ③放射線治療
 ④手術療法
 ⑤インターベンション

各論
1.甲状腺中毒症
2.甲状腺機能亢進症
 ①Basedow病
 ②機能性甲状腺結節
 ③その他の甲状腺機能亢進症
3.甲状腺機能低下症
 ①原発性甲状腺機能低下症
 ②中枢性甲状腺機能低下症
 ③その他の甲状腺機能低下症
4.甲状腺炎
 ①慢性甲状腺炎(橋本病)
 ②無痛性甲状腺炎
 ③亜急性甲状腺炎
 ④急性化膿性甲状腺炎
5.甲状腺結節および腫瘍様病変
 ①腺腫様甲状腺腫
 ②濾胞性腫瘍
 ③甲状腺がん
 ④多発性内分泌腫瘍症2型
6.甲状腺リンパ腫
7.小児甲状腺疾患
 ①先天性甲状腺疾患
 ②後天性甲状腺疾患
 ③小児甲状腺腫瘍(囊胞,結節を含む)
8.周産期の甲状腺機能異常症
9.薬剤性甲状腺機能異常
10.甲状腺眼症
11.全身疾患と甲状腺
 ①非甲状腺疾患
 ②加齢と甲状腺疾患
 ③甲状腺疾患と心臓
 ④甲状腺疾患と糖代謝
 ⑤甲状腺疾患と脂質代謝
 ⑥甲状腺ホルモンと骨代謝
 ⑦甲状腺疾患とストレス・精神障害
 ⑧甲状腺と腎・高血圧
12.甲状腺疾患の緊急治療
 ①甲状腺クリーゼ
 ②粘液水腫性昏睡(橋本脳症を含む)
 ③甲状腺中毒性周期性四肢麻痺
13.潜在性甲状腺機能異常
 ①潜在性甲状腺機能亢進症
 ②潜在性甲状腺機能低下症
 ③妊娠中の潜在性甲状腺機能異常
14 自己免疫性多内分泌腺症候群
15 甲状腺ホルモン受容体異常症

Ⅲ 臨床に関する倫理・安全管理
1.遺伝医療と生命倫理
2.甲状腺穿刺にかかわる安全管理とリスクマネージメント

索引

COLUMN WHO分類第5版と甲状腺癌取扱い規約第9版の対応と相違点

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