株式会社 診断と治療社

【10月下旬発売予定】 季節対応型血圧管理の実践指針 ―10の提言―

「高血圧管理・治療ガイドライン2025」(JSH2025)を補完し,季節および温度環境の変化に応じた具体的な血圧管理のあり方を示す実践的な指針.季節変動と循環器疾患の発症リスク,寒冷および暑熱による血圧変動の機序,室温や住宅環境の影響ならびに季節を考慮した降圧方法を10の提言としてまとめた.血圧管理に関わるすべての医療職種必須の手引き.
定価:
3,850円(本体価格 3,500円+税)
発行日:
2026/10/22
ISBN:
9784787828231
判型:
製本:
並製
在庫:
在庫無し

序文

序 文

高血圧は,脳卒中,心疾患,腎臓病,認知症をはじめとする多くの疾患の発症・進展に関与する,わが国における最も重要な健康課題の一つです.血圧は医療機関だけでなく家庭や職域,地域社会でも繰り返し測定でき,生活習慣の改善や適切な治療によって管理可能な健康指標でもあります.国民一人ひとりが自らの血圧を把握し,日々の行動によって改善に取り組めることは,高血圧管理の大きな特徴です.
日本高血圧学会は,「良い血圧で健やか100年人生」の実現を目指し,高血圧の予防,早期発見,適切な治療および管理の推進に取り組んでまいりました.「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では,診察室血圧のみならず,家庭血圧,特に早朝血圧や夜間血圧の重要性を改めて強調し,患者一人ひとりのリスクと病態に応じた個別化・最適化治療を重視した管理方針を示しました.一方で,血圧は時刻,睡眠,身体活動,心理的ストレス,食塩摂取,服薬状況,気温,室温など様々な要因の影響を受けて変動し,その評価と管理にはさらなる視点が求められます.
とりわけ四季の変化が明瞭なわが国では,冬季の寒冷曝露に伴う血圧上昇と心血管イベントの増加が長年にわたり重要な課題となってきました.さらに近年では,気候変動による猛暑や熱波の増加を背景として,夏季の脱水,日中血圧の低下,過降圧および夜間血圧上昇への対応の重要性も明らかとなっています.これからの高血圧管理には,冬季だけでなく夏季を含めた年間を通じた血圧評価と治療調整が求められます.
このような背景のもと,日本高血圧学会は「季節対応型血圧管理の実践指針―10の提言―」を策定しました.本指針は,JSH2025を補完し,季節および温度環境の変化に応じた具体的な血圧管理のあり方を示すことを目的としています.本指針では,季節変動と循環器疾患の発症リスクとの関連,寒冷および暑熱による血圧変動の機序,室温や住宅環境の影響,季節変動の影響を受けやすい集団への配慮,ならびに季節を考慮した降圧療法について,現在の科学的知見と専門家の合意に基づき,10の提言として整理しました.
本指針が医療者の日常診療のみならず,国民一人ひとりの血圧管理の実践に広く活用され,四季を通じた適切な血圧管理の普及と,高血圧による循環器疾患の予防,さらには健康寿命の延伸に貢献することを期待します.
一方で,季節対応型血圧管理に関するエビデンスはなお十分とはいえず,本指針の策定を通じて今後解決すべき課題も明らかとなりました.日本高血圧学会は,これらの課題に関する研究とエビデンス創出を推進し,季節対応型血圧管理のさらなる発展に取り組んでまいります.加えて,日本の四季,家庭血圧測定,住宅環境対策の経験を活かした日本発の季節対応型血圧管理モデルを確立し,その成果を世界へ発信することで,地球規模の高血圧対策に貢献していきたいと考えています.
最後に,本指針の策定にご尽力いただいた委員会委員,執筆者ならびに関係者の皆様に深く感謝申し上げます.

2026年10月
特定非営利活動法人日本高血圧学会
理事長 苅尾七臣

目次

Q1 なぜ今,季節対応型血圧管理が重要なのか?
Q2 冬季・夏季にはどのような疾患が増加するのか?
Q3 糖尿病・脂質異常症にも季節変動はあるのか?
Q4 季節変動に伴う血圧上昇の医学的メカニズムは何か?
Q5 室温と血圧に関するエビデンスは何か?
Q6 どのような人が季節変動の影響を受けやすいのか?
Q7 予防に関するエビデンスはあるのか?
Q8 具体的な冬季の予防対策は何か?
Q9 夏季のエビデンスと対策は何か?
Q10 季節を考慮した降圧療法とは何か?

本指針を理解するための5つの重要メッセージ

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