株式会社 診断と治療社

産科と婦人科 最新号

  • 臨床にすぐに役立つ知識や最新知見を毎号1テーマで特集.
  • エキスパートによる解説が読み応え十分!
  • 増刊号は網羅的な構成で「手元にあると便利な1冊」として毎年好評.
  • 2色刷りのビジュアルな誌面でポイントが一目でわかりやすい.

次号予告 雑誌「産科と婦人科」2025年 Vol.92 No.3 産婦人科領域のトランスレーショナルリサーチの展開―若手医師への研究のススメ―

定価:
3,300円(本体価格 3,000円+税)
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掲載論文

企画 宮城悦子

Ⅰ.婦人科腫瘍
1.婦人科がんの新規免疫治療法の開発の現状 / 小笠原仁子・他
2.婦人科がんのトランスレーショナルリサーチ―病理組織像,HRD,免疫チェックポイント阻害薬,ベバシズマブ― / 松村謙臣
3.子宮頸部胃型腺癌発生のメカニズムの解明 / 宮本 強
4.子宮内膜癌の進展メカニズムの解明 / 石黒竜也
5.遺伝子変異解析を軸としたGnRHアナログによる子宮筋腫の縮小効果予測 / 永井康一
6.婦人科腫瘍におけるantibody drug conjugateの実用化と課題 / 鈴木幸雄

Ⅱ.生殖内分泌
7.初期胚発生の分子機序はどこまで解明されたか / 松沢優一・他
8.胚発生とミトコンドリア / 伊集院昌郁・他
9.精子免疫と不妊症研究の最前線 / 陳 月焜・他
10.着床前遺伝学的検査の進化 / 佐々木愛子

Ⅲ.周産期
11.妊婦の深部静脈血栓症メカニズムの解明 / 根木玲子・他
12.妊娠高血圧症候群の関連病態の発症メカニズムの解明 / 熊澤惠一
13.子宮頸管熟化の制御機構 / 下川理沙・他
14.網羅的遺伝子発現解析法を用いた胎盤トロホブラスト形成にかかわる新規ERV遺伝子の同定 / 杉本 潤

連 載
漢方よもやま話 第15回 
麻黄湯 / 能㔟充彦

弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ 
患者情報の漏洩にはどんな対応が求められるの? / 水上裕嗣

専門医・認定医をとろう!私の体験記 第21回 
女性心身医学会認定医(日本女性心身医学会) / 紫藤 史

原 著
40歳以上の月経困難症に対するGnRHアンタゴニストとジエノゲストを組み合わせた新しい治療法―予期せぬ不正子宮出血を防止するために― / 合阪幸三・他

ねらい

 臨床の現場では,働き方改革のなかで「自己研鑽」の名のもとに,臨床医が行う研究については逆風ともいえる状況に陥っています.しかし,臨床を専門とする産婦人科医師が,最先端の医療に直結する基礎と臨床をつなぐトランスレーショナルリサーチの現状を理解することは,患者へのよりよい医療提供やコミュニケーションにもつながります.また自ら研究に着手している大学院生やポストドクターの産婦人科医師,アカデミアに所属する医師が,産婦人科領域の新たな研究を推進していくことは,産婦人科学の進歩に欠かせないことであると考えております.
 特に昨今,若手医師にとっては,研究のハードルは高いと思われますが,本特集で取り上げたような臨床に直結する研究情報に触れることで「自分もトランスレーショナルリサーチに携わってみたい」という研究への関心が芽生えることを願っています.また実際に研究に携わっている医師にとって,他分野の研究の展開や新たな研究手法を知っていただくことは,自身の研究の発展のヒントになるかもしれません.
 今回,日本を代表する産婦人科領域のphysician-scientistの皆様に,産婦人科領域のトランスレーショナルリサーチ最前線のトピックスをご執筆いただきました.婦人科腫瘍領域では,新規免疫治療法開発,ゲノム不安定性と婦人科がん,子宮頸部胃型腺癌・子宮内膜癌・子宮筋腫の発生に関する分子メカニズムなどについて取り上げました.生殖内分泌領域では,初期胚発生と精子免疫と不妊症,出生前診断について,最新の研究成果をお示しいただきました.そして,周産期領域では,古くて新しい妊婦の深部血栓塞栓症,妊娠高血圧症群,頸管熟化,最先端の周産期合併症発症病態の包括的分子レベルでの研究など,最新の知見について概説いただきます.上記のような,トランスレーショナルリサーチが産婦人科診療に入り込んでくるまでの時間は,極めて短縮傾向にあるように感じます.また,大規模データベースを用いた分析やシングルセル解析など,いわゆるドライラボ研究も今後さらなる発展が期待されています.
 本特集により,ベテラン医師には最新のトランスレーショナルリサーチの発展にキャッチアップいただき,さらに若手産婦人科医師に,自分自身で社会実装に結びつくような研究の世界に足を踏み入れてみたいとの希望をもっていただきたいと思います.基礎研究も,臨床研究も,両者をつなぐトランスレーショナルリサーチも,苦労は多くとも「ワクワクドキドキ」を感じる瞬間が多々あることを知っていただければ幸いです.

(横浜市立大学医学部産婦人科学教室 宮城悦子)
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