株式会社 診断と治療社

小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2025年 Vol.88 No.10 小児の不眠 ー眠れない子ども・眠らない子どもへの対策ー

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掲載論文

序 文 星野恭子/石垣景子

Ⅰ.プロローグ
「眠れない」「眠らない」子どもたちを考える  /星野恭子

Ⅱ.「眠れない」乳幼児
新生児からの行動療法による親教育  /足達淑子
夜泣きにどう対応するか  /清水悦子
保育の場での睡眠―午睡に着目して―  /鈴木みゆき

Ⅲ.「眠らない」小中学生
眠らない小中学生,社会的時差ぼけについて―養護教員と協働した睡眠教育活動を交えて―  /田中秀樹・他
睡眠不足症候群  /神山 潤
子どもの睡眠の評価法  /駒田陽子
子どものインターネット・ゲームの長時間使用と睡眠障害  /増田彰則

Ⅳ.眠れない子どもたちの背景と素因
神経発達症児の睡眠障害の治療  /加藤久美
小児・思春期の睡眠衛生指導で気をつけたいこと  /呉 宗憲・他
小児の睡眠時無呼吸症候群  /井下綾子

Ⅴ.眠れない・眠らない子どもたちへの治療の実際
小児期の睡眠障害と鉄の関係  /福水道郎
メラトニン製剤の使いかた  /野﨑真紀
睡眠導入剤とアリピプラゾールを用いた起床困難対策―起立性調節障害への支援―  /神林 崇・他
子どもの不眠における認知行動療法  /岡島 義

Ⅵ.子どもの眠りに影響する要因
子どもたちのクロノタイプ「朝型?」「夜型?」  /田原 優
時間栄養学の観点から治療する  /古谷彰子
リストバンド型デバイスを用いた大規模調査  /岸 哲史
子どもたちのスポーツと睡眠の問題  /白濱龍太郎
排泄と生活習慣  /加藤 篤・他

症例報告
喘息発作時に自然血胸を発症し肺葉外肺分画症の診断に至った 11歳男児例  /及川 輝・他

ねらい

星野恭子  /昌仁醫修会 瀬川記念小児神経学クリニック,社会と共に子どもの睡眠を守る会
石垣景子  /東京女子医科大学医学部小児科,昌仁醫修会 瀬川記念小児神経学クリニック

 「眠れない子ども」「眠らない子ども」.
 子どもたちの睡眠覚醒のリズムは,子どもたちが作るわけではない.保護者が作る.保護者の生活は社会に影響される.
 「眠れない子ども」は,保護者に寝かせてもらえていない,眠る環境を整えてもらえない「眠れない乳幼児」「眠れない学童」をさす.「眠らない子ども」は,メディアに没頭したり,塾や習い事等の日常に追われ,早く寝ようと思っていない,睡眠を疎かにしてしまう「眠らない学童」である.思春期以降になると,深夜にオンラインゲームやSNSに没頭しさらに「眠らない中高生」となる.
 2018年度(平成30年度)から日本版『Bright feature』,すなわち,乳児から思春期のbiopsychosocialな指針の作成に向け「身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育を促すための切れ目のない保健・医療体制提供のための研究」班が立ち上がっている.生物・心理・社会的な視点から「乳児から思春期までのヘルススーパービジョンのための指針」を作成するのが目的である.
 昔に比べ栄養,医療,教育,すべてが格段に進歩した日本では,子どもの睡眠時間が減っている.豊かさ=子どもの不眠なのだろうか? 「大人も子どもも夜寝ないで遊べる」は豊かさの象徴なのかもしれない.筆者は「子どもたちだって,毎日夜寝なくても元気じゃないか」という考えは誤解であることを伝えたい.「食べて遊んで元気で過ごして夜はぐっすり眠れる」こそ,身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育の基本と考える.
 小児科外来には多くの小児が受診をする.日本中の子どもたちは1度は小児科を受診したことがあるだろう.そして,何らかの睡眠の問題を抱えている子どもたちも多くいるはずである.本特集は,生後から中学生まで,すべての年齢の「眠れない理由」「眠らない理由」に焦点をあて,わが国の子どもの睡眠エキスパートに原稿を依頼した.公衆衛生,夜泣きアドバイザー,保育関係,学校教育関係,睡眠研究者,小児科,精神科,スポーツ医学,排便等,睡眠にかかわる全アプローチを網羅できるように工夫をした.
 この特集は,多忙な小児科外来において,睡眠の指導をしたい,治療をしたい,と思う先生方にぜひとも役立てていただきたい.
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