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雑誌「小児科診療」2025年 Vol.88 No.3 小児耳鼻咽喉科疾患のすべて ファーストタッチから専門診療へ
掲載論文
序 文 /小森 学
Ⅰ.主要徴候に対するファーストタッチ
難 聴 /白井杏湖
めまい /藤本千里
言語発達遅滞・構音障害 /土橋奈々
音声障害 /平野 愛
睡眠障害(睡眠時無呼吸) /池田このみ
頸部腫瘤 /福原隆宏
小児救急疾患(処置のコツ) /中野光花・他
Ⅱ.主要疾患に対する専門診療
①新生児期
小耳症,外耳道閉鎖症 /西山崇経
先天性鼻腔狭窄・後鼻孔閉鎖症 /細川 悠
喉頭軟弱症・声門下狭窄 /横山菜悠・他
②幼児期
急性中耳炎・滲出性中耳炎 /栃木康佑・他
扁桃炎 /島田茉莉
アレルギー性鼻炎・小児副鼻腔炎 /吉田加奈子
顔面神経麻痺 /西原江里子・他
③学童~思春期
機能性難聴/聞き取り困難症 /竹内美緒
頸部膿瘍疾患 /有本友季子
症例報告
COVID-19流行中の管理途絶中に重度ARを合併した 漏斗部心室中隔欠損症例 /田中寛顕・他
直接作用型抗ウイルス薬が奏効したC型肝炎キャリアの1例 /山遠 剛
Ⅰ.主要徴候に対するファーストタッチ
難 聴 /白井杏湖
めまい /藤本千里
言語発達遅滞・構音障害 /土橋奈々
音声障害 /平野 愛
睡眠障害(睡眠時無呼吸) /池田このみ
頸部腫瘤 /福原隆宏
小児救急疾患(処置のコツ) /中野光花・他
Ⅱ.主要疾患に対する専門診療
①新生児期
小耳症,外耳道閉鎖症 /西山崇経
先天性鼻腔狭窄・後鼻孔閉鎖症 /細川 悠
喉頭軟弱症・声門下狭窄 /横山菜悠・他
②幼児期
急性中耳炎・滲出性中耳炎 /栃木康佑・他
扁桃炎 /島田茉莉
アレルギー性鼻炎・小児副鼻腔炎 /吉田加奈子
顔面神経麻痺 /西原江里子・他
③学童~思春期
機能性難聴/聞き取り困難症 /竹内美緒
頸部膿瘍疾患 /有本友季子
症例報告
COVID-19流行中の管理途絶中に重度ARを合併した 漏斗部心室中隔欠損症例 /田中寛顕・他
直接作用型抗ウイルス薬が奏効したC型肝炎キャリアの1例 /山遠 剛
ねらい
小森 学 /聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科
小児科診療において,耳鼻咽喉科領域の疾患はきわめて日常的なものであり,特に急性中耳炎や鼻閉,扁桃炎などの疾患は,耳鼻咽喉科医ではなく小児科医が「ファーストタッチ」として最初に診療する機会が多いと考えます.しかし,耳鼻咽喉科疾患のなかには,専門的な診断や治療が求められるケースも少なくありません.その際,小児科医としてどのタイミングで耳鼻咽喉科専門医に紹介すべきか,またはどのように患者と家族に説明すべきかといった判断が重要になります.
本特集は,小児科医の皆様に向けて,耳鼻咽喉科領域の主要疾患や徴候についての理解を深めることを目的としています.各分野の専門家である耳鼻咽喉科医が,それぞれの疾患に対する最新の診療指針や臨床知見をもとに,実際の診療に役立つ知識を解説しています.また,各項目の最後には「小児科医へのメッセージ」を盛り込むことで,耳鼻咽喉科医としての視点を共有するとともに,小児科診療における役立つヒントを提供することを目指しています.
本特集では,二つの異なる診療科の診断に対する本質にも目を向けています.小児科の本質が内科学にあり,患者全体を包括的に捉えつつ病態を評価することを重視しているのに対し,耳鼻咽喉科の本質は外科学に根差しており,診断から治療まで各領域を詳細に観察し,具体的な診断を確定することに重きを置いています.この違いは,ときに診療アプローチの多様性を生むものの,適切に理解し活用することで,患者に最善の医療を提供するための強力な武器となり得ます.
また,少子化の進展が加速する日本において,小児患者の減少はすべての小児診療科にとって重要な課題となっています.患者数の減少は診療体制や医療資源の分配に影響を及ぼすだけでなく,診療科間の競争や摩擦を生む要因ともなり得ます.しかし,本特集を通じて提唱したいのは,こうした課題に対し,対立ではなく共存と発展を目指すべきであるという考え方です.小児医療の質を維持・向上させるためには,各診療科が互いの専門性を尊重し合い,協力する姿勢が求められています.
執筆陣は,次世代を担う熱意あふれる若手の耳鼻咽喉科医を中心に構成されています.これにより,現場の最前線で活躍する視点を共有し,実際の診療に活かせる情報をお届けすることができると考えています.本特集を通じて,日々の診療の一助となるとともに,小児科医と耳鼻咽喉科医の協力関係がさらに深化することを期待しています.
本誌が,小児科診療に携わる皆様の日々の診療活動の一助となること,さらには,内科的視点と外科的視点の相互補完を基盤とした小児医療の新たな形を模索する一助となれば幸いです.そして,本特集を通じて,小児科と耳鼻咽喉科の間に新たな診療コンセンサスが生まれることを心から願っています.
小児科診療において,耳鼻咽喉科領域の疾患はきわめて日常的なものであり,特に急性中耳炎や鼻閉,扁桃炎などの疾患は,耳鼻咽喉科医ではなく小児科医が「ファーストタッチ」として最初に診療する機会が多いと考えます.しかし,耳鼻咽喉科疾患のなかには,専門的な診断や治療が求められるケースも少なくありません.その際,小児科医としてどのタイミングで耳鼻咽喉科専門医に紹介すべきか,またはどのように患者と家族に説明すべきかといった判断が重要になります.
本特集は,小児科医の皆様に向けて,耳鼻咽喉科領域の主要疾患や徴候についての理解を深めることを目的としています.各分野の専門家である耳鼻咽喉科医が,それぞれの疾患に対する最新の診療指針や臨床知見をもとに,実際の診療に役立つ知識を解説しています.また,各項目の最後には「小児科医へのメッセージ」を盛り込むことで,耳鼻咽喉科医としての視点を共有するとともに,小児科診療における役立つヒントを提供することを目指しています.
本特集では,二つの異なる診療科の診断に対する本質にも目を向けています.小児科の本質が内科学にあり,患者全体を包括的に捉えつつ病態を評価することを重視しているのに対し,耳鼻咽喉科の本質は外科学に根差しており,診断から治療まで各領域を詳細に観察し,具体的な診断を確定することに重きを置いています.この違いは,ときに診療アプローチの多様性を生むものの,適切に理解し活用することで,患者に最善の医療を提供するための強力な武器となり得ます.
また,少子化の進展が加速する日本において,小児患者の減少はすべての小児診療科にとって重要な課題となっています.患者数の減少は診療体制や医療資源の分配に影響を及ぼすだけでなく,診療科間の競争や摩擦を生む要因ともなり得ます.しかし,本特集を通じて提唱したいのは,こうした課題に対し,対立ではなく共存と発展を目指すべきであるという考え方です.小児医療の質を維持・向上させるためには,各診療科が互いの専門性を尊重し合い,協力する姿勢が求められています.
執筆陣は,次世代を担う熱意あふれる若手の耳鼻咽喉科医を中心に構成されています.これにより,現場の最前線で活躍する視点を共有し,実際の診療に活かせる情報をお届けすることができると考えています.本特集を通じて,日々の診療の一助となるとともに,小児科医と耳鼻咽喉科医の協力関係がさらに深化することを期待しています.
本誌が,小児科診療に携わる皆様の日々の診療活動の一助となること,さらには,内科的視点と外科的視点の相互補完を基盤とした小児医療の新たな形を模索する一助となれば幸いです.そして,本特集を通じて,小児科と耳鼻咽喉科の間に新たな診療コンセンサスが生まれることを心から願っています.