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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2025年 Vol.88 春増刊号 これからのガイドラインの読み方,使い方

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掲載論文

序 文  大石公彦・鹿島田健一

Ⅰ ガイドラインのつくり
 Mindsってなに?―Mindsガイドラインライブラリが提供する診療ガイドライン作成支援コンテンツ―  佐藤康仁
 診療ガイドラインができるまで  石井智弘
 重要臨床課題とクリニカルクエスチョン  夏目 淳
 システマティックレビューってなに?  奥田雄介・他
 エビデンスレベルが表すこと  西山将広
 推奨グレードはどう臨床に結びつく?  川井正信
 臨床から医療行政まで  中山健夫
 社会から考える診療ガイドライン?患者・市民参画(PPI)を診療ガイドライン策定にどう取り入れるか?  渡部沙織・他
 法的にみたガイドラインの重み  大磯義一郎

Ⅱ 国内のガイドラインから考える
総論
 診療ガイドラインの成り立ちを考える  鹿島田健一
一般
 頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版  刈部 博・他
 けいれん性てんかん重積状態  菊池健二郎
 熱中症  三宅康史
 咳 嗽  吉原重美
感染/呼吸器
 インフルエンザ  天羽清子
 RSウイルス呼吸器感染症  森岡一朗
 呼吸器感染症  新庄正宜
 急性中耳炎  林 達哉
 『エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン2017』第Ⅰ部 小児急性胃腸炎診療ガイドライン  上村克徳
消化器
 難治性下痢症診断の手引きについて  位田 忍
 便 秘  羽鳥麗子
 腸重積症  平田倫生
 虫垂炎  川瀬弘一・他
アレルギー
 アトピー性皮膚炎  山本貴和子・他
 喘 息  長尾みづほ
 食物アレルギー診療ガイドライン2021  伊藤浩明
 新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症  宮沢篤生
内分泌代謝
 小児・思春期糖尿病コンセンサスガイドライン2024  菊池 透
 甲状腺機能亢進症  南谷幹史
新生児
 新生児の蘇生  細野茂春
 NICUにおける痛みのケアガイドライン  内田美恵子
 C型肝炎母子感染小児の診療ガイドライン  乾 あやの
神経
 『幼児吃音臨床ガイドライン第1版』について  森 浩一
 熱性けいれん  金村英秋
腎臓
 夜尿症  内藤泰行・他
 ネフローゼ  濱田 陸・他
 腎血管性高血圧  池住洋平
循環器
 川崎病  三浦 大
血液
 小児がん  家原知子

Ⅲ 海外のガイドラインから考える
 小児診療ガイドラインの発展と国際的視点の重要性  大石公彦
 乳児発熱  今川智之
 輸 液  加藤宏樹
 SIDSとALTE(またはBRUE)  中川 聡
 小児の尿路感染症  北形綾一・他
 肥 満  小山さとみ
 SGA  中野有也
 高ビリルビン血症  岩谷壮太
 注意欠如・多動症(ADHD) 神経発達症  浦谷光裕・他
 ガイドラインに基づく小児ITPの診療  森 麻希子

索 引

ねらい

大石 公彦 /東京慈恵会医科大学小児科学講座
鹿島田健一 /国立成育医療研究センター内分泌・代謝科

 われわれ小児科医が日常の診療において,すべての疾患に対するガイドラインを詳細に把握し,その改定時期まで常に最新の状態に保つことは容易ではない.特に,川崎病,尿路感染症,頭部外傷,アレルギーなど,小児科外来や入院診療で頻繁に遭遇する疾患に関しては,それぞれのガイドラインを適切に理解し,実践に活かすことが求められる.しかし,多忙な臨床現場においては,時間やリソースが限られているのが現実である.
 本増刊号は,こうした現場のニーズに応えるべく,若手医師や専攻医が学ぶべき主要な疾患に焦点をあてている.小児科医として習得すべき代表的な疾患に関するガイドラインを,診療時に即応可能な形でハイライトし,その作成に至る経緯や背景についても詳細に解説している.また,診療の流れや留意すべき点を明確に示し,ガイドラインへの迅速なアクセス方法を提示することで,臨床現場における実践的な活用を促進する内容としている.この一冊を手元に置くことで,日常診療に必要不可欠な基本的なガイドラインの要点を把握し,実際の診療に役立てることができるよう工夫した.
 さらに,本増刊号では,わが国のガイドラインに加え,わが国ではまだ確立されていない疾患に関する海外の診療ガイドラインにも着目している.特に希少疾患の領域においては,国内の経験が限られるため,欧米で策定されたすぐれたガイドラインが重要な指針となることが多い.米国小児科学会(American Academy of Pediatrics: AAP)のガイドラインや,欧州の希少疾患に関するガイドラインは,日本国内でも広く参照されており,難治性疾患や特殊な病態への対応において貴重な指針となる.本増刊号では,これら海外のガイドラインがわが国の医療現場でどのように応用可能であるかについても言及し,海外のエビデンスがもたらす国際的視点の意義を示している.
 また,ガイドラインの作成に関与した専門家が,その策定プロセスや背景についても詳述している.ガイドラインは単にエビデンスを集約したものではなく,実臨床においてどのように適用され,医療従事者にどのように活用されているかが,診療の質に大きな影響を及ぼす.本増刊号を通じて,読者がガイドラインの意義や実践的な活用法を深く理解し,臨床現場で有効に活用できることを期待している.
 特に若手医師にとって,ガイドラインの理解と実践は,質の高い医療を提供するための礎となる.また,ガイドライン作成の過程に関与することは,エビデンスの収集・評価や臨床応用の方法を学ぶ貴重な機会である.若手医師がガイドラインを活用し,臨床現場での経験を積み重ねながら応用力を磨くことは,将来の医療を支える重要な基盤となる.本増刊号が,診療ガイドラインの現状を再確認し,日常診療において効果的に活用される一助となることを心より願っている.
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