株式会社 診断と治療社

小児科診療 最新号

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  • 「増刊号」を年2冊、「特大号」を年1冊発行.読者の厚い信頼に応える内容で日常診療に不可欠な情報満載.

雑誌「小児科診療」2026年 Vol.89 No.5 ちょっと待って! 論文を書く前に知っておきたいことABC

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掲載論文

序 文 鹿島田健一

Ⅰ.はじめに
さあ,まず書いてみよう  /鹿島田健一

Ⅱ.論文の“かたち”と“ありかた”
論文の構造から学ぶ科学的思考  /加藤元博
表紙から読み取る様々な情報1-タイトル・要約-  /飛彈麻里子
表紙から読み取る様々な情報2-著者リスト-  /赤羽弘資
様々な論文の“かたち”  /鈴木 滋
Figureをみる,Figureをみせる  /辻 敦美

Ⅲ.書く前に少し考えてみよう
投稿誌の選びかた  /古庄知己
大いに気になる,雑誌の格付け  /新野一眞・他
なぜ英語で論文を書くのか  /滝沢琢己
AIと論文の“微妙な関係”  /浜本隆二
オープンアクセスジャーナルってなに?  /宮入 烈
論文執筆でのご法度-データ捏造・改ざん,盗用,二重投稿,サラミ論文,不適切なオーサーシップなど-  /札野 順
倫理とCOI  /道上敏美
査読の仕組み  /細野茂春
文献を引用すること  /水野朋子

Ⅳ.あなたが知らない,論文を書くことのメリット
英語論文執筆はすぐれた教育ツール  /鳴海覚志
論文を書くことでコミュニケーション能力を伸ばす1-広げる共同研究の輪-  /岡田 賢
論文を書くことでコミュニケーション能力を伸ばす2-査読者への対応のしかた-  /真部 淳

症例報告
低身長に対する亜鉛欠乏症の治療中に鉄欠乏性貧血を発症した1例  /石原温子・他
右上腹部痛を主訴に保存的治療で軽快した特発性大網捻転の1例  /久保昭悟・他

ねらい

鹿島田健一  /国立成育医療研究センター内分泌・代謝科

 われわれ医療者にとって論文とは何か?
 医療の根幹をなす「患者の益になることをなす」という言葉はヒポクラテスまで遡ることができる.これに患者の意思決定が加わる形で近代の医療は発展してきた.この「益」を客観的に示し,論理的に支えるのが科学であり,エビデンスである.われわれが日頃医療行為として行う「注射(=針を刺す)」「外科的治療(=皮膚を切開する)」「薬物治療(=副作用がある)」はいずれもその倫理的な根拠を失えば,一般社会では犯罪に等しい行為である.論文はわれわれの医療行為と患者の「益」を直接結びつける媒体であり,ここに非科学的な医療との明確な境界がある.
 医療に関する論文は,いわゆる研究室(ベンチ)から基礎研究,臨床の現場(ベッド)から臨床研究,それらを橋わたしするトランスレーショナルリサーチ,など様々な形をもつ.共通するのは,臨床の現場から発した疑問を科学的手法で検証し,そのエビデンスを間接的あるいは直接的に用い,医療と医学の進歩に貢献する点である.臨床と研究は不可分であり,医療者として医療に従事する以上,論文作成は,さけて通ることができない.医療の進歩に貢献することは無論のこと,論文作成は自身の科学的見地,科学的思考法を深めるうえで最も効率的な方法である.小児科専門医を取得するにあたり,論文執筆が求められるようになったのは,こうした背景が大きな理由の1つであろう.
 一方,論文作成に含まれる様々なタスクと仕事量は,実際に経験しないと想像することすら難しい.アイデアを出し,科学的に実証,データを英文にすることは,論文の根幹を成すが,執筆という作業からみれば一部にすぎないともいえる.習得するには,実際に経験することが最大の近道である.論文を継続的に書くうえでのポイントは,周到な準備をする一方,心理的敷居を低くし数多く経験することであり,このやや相反することを両立させることである.本特集は,この矛盾をはらむ論文執筆にあたる心構えと実務的な指南をおりまぜ,若手医師の論文執筆の心理的敷居を低くすることを目的とした.
 本特集には,建前とも少し異なる,様々な経験に根ざしたtipsが数多く書かれている.さらに近年進歩著しいAIと論文の関係にもふれた.倫理に関して十分な配慮が必要なことはいうまでもない.こうしたことを知ると知らないのとでは,論文執筆に向き合う心のもちようは大きく異なるであろう.若手医師の読者にとって,論文にまつわる様々な課題解決の糸口が散りばめられていると確信する.
 本特集の著者は,私がこれまで一緒に仕事をさせていただいた,あるいは論文を拝見し,これは,と思った方々にお願いした.小児科領域でもとりわけ高いレベルで研究されている先生に数多く玉稿を頂戴できたことは何よりの僥倖である.忙しいなか,執筆いただけたことに改めて感謝申し上げる.
 論文を書き続けることは日々鍛錬の賜物である.私自身,各先生の原稿を拝見し,論文を書き続けることの大切さを改めて心に刻んだ.一人でも多くの小児科医に対し,論文を書く背中を押すことができればと願っている.
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