外来診療のための糖尿病・内分泌疾患ベストプラクティス
定価:6,930円(税込)
Foreword
大学を卒業すると医師の多くは初期研修を終了し,専門研修を経て専門医を目指します.医師としてのデビュー当初は,カルテの書き方,患者との接し方,診察・検査手法などの実践的なことを学ぶだけで精一杯ですが,やがて大学院博士課程あるいは海外留学などによって専門性を磨き,中堅~シニア世代になると自分自身の診療・研究グループを率いて後進を指導する立場になります.若手医師の皆さんは現在,いろいろなものを見聞きして挑戦し,適度の失敗から多くを学び,「オレ流・ワタシ流」を見つけ出す旅路を歩んでいるのでしょう.医師の人生は十人十色ですが,若いときにどんな経験をしたのか,どのように考えて過ごしたのかは,将来の医師としての人生に大きく影響します.
医学知識・スキルを解説した教科書の類いは数多くあります.一方,歴史上の偉人や雲の上のレジェンドたちが,医師としての生き方について多くの名言を残していますが,医師としての人生を真正面から取り上げた書籍は必ずしも多くはありません.本書は,内分泌代謝・糖尿病領域の臨床・研究・教育の現場で活躍する達人たちの生の声を集めたものです.学会講演や論文発表,教科書の記載では知り得ない執筆者の人柄・本音を垣間見ることができ,将来の幸せな人生を送るために,若手医師の日々の活動のヒントになります.「医師のワークライフバランス」が注目されるようになりましたが,大切なことはいつになっても変わりません.専門性・世代・立場の異なる執筆者の声に耳を傾けてみると,共通するメッセージを読み取ることができるでしょう.
本書の編集代表の髙橋 裕教授は,内分泌代謝学,とくに間脳下垂体領域ではわが国を代表する医師・研究者,そして優れた教育者であり,私と同じ時代を駆け抜けてきた戦友です.本書は髙橋教授の医師・研究者としての長年の経験と若手育成にかける熱い思いが結実してできあがったものです.経験豊富な先人の金言には味わい深いものがあり,さまざまなライフイベントを見事に乗り越えて輝き続けている女性医師の言葉には勇気づけられます.一期一会,本書で出逢った達人たちに声を掛けてみるのもよいかもしれません.
本書が,医師としての第一歩を踏み出した若手世代,これから医師を目指す学部学生のメンターとなり,若いときの心構え・考え方,行動の道標となって,医師として豊かな人生を歩んでいただきたいと思います.
2026年1月
一般社団法人日本内分泌学会 代表理事
九州大学大学院医学研究院病態制御内科学(第三内科)主幹教授
小川佳宏
Preface
いよいよ「医師としての幸せな人生のために大切なこと」が出版されることになりました.本書を企画した経緯,目的は「Read This First」をお読みください.そこで述べているように,この本には私,そして編者の先生方,ご執筆いただいた先生方,編集部の福島さんの熱い思いが詰まっています.そして,たくさんの先生方のゲラ刷りを読んで,本当にこの本を作ってよかったと感じました.それは,医師にとっての人生の道標になりうる,期待をはるかに超える書になったことを確信したからです.
まず,私が大切だと思っていたことの多くは,表現は違っても他の先生方も同様に記載されており,驚くほど共通していました.それは取りも直さず,人生において大切なことは共通の真理であることを示しています.今の若い先生を見ていると,いかに待遇のよいところで早く効率的に専門医を取るかという考えが多いように感じることもありますが,本書で述べているアドバイスは,長い目で見て幸せな人生を歩むために若いときからどのようなことを考えて行動すればよいのかということへの大切なヒントになるのではないかと思います.
また現在,活躍されている女性医師の皆さんが,仕事と家庭の両立のなかでいかに,もがきながら頑張ってこられたかもひしひしと伝わってきました.これからキャリアと結婚,妊娠・出産をどうやって両立させていこうかと考えておられる女性医師にも,大きなエールとメッセージになったと思います.
そして,中間管理職や指導的な立場の立場になって初めて気づく辛さと苦労もあると思います.そのようなときに参考になるメッセージもたくさんあります.さらに誰でもあると思いますが,心が折れそうなとき,人生のどん底のときにどうすればよいのかも,私自身,最近ストレスフルに感じたときに読んでみて,大変勇気づけられました.
本書はおもに糖尿病・内分泌内科を専攻している医師が執筆していますが,多くの項目はすべての医師にとって,さらにいえば,社会人として奮闘されている医師以外の方にとっても大切なこと,人生に役立つメッセージが満載されていますので,広く読んでいただけることを願っています.また本書は,教科書でもエビデンスを記載したガイドラインでもありませんので,最初から通読する必要はありません.人生に迷ったとき,疲れたとき,困ったとき,辛いときにふと手に取っていただき,心に響いた項目を寝転びながら気楽に読んでいただくのがよいと思います.
人生はまさに縁が大切です.本書との出会い,縁が皆さんの幸せ,かつ,充実した人生の一助になることを心から願っております.
2026年1月
奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科学講座 教授
髙橋 裕
Chapter1 医師としてのマインドセットとスキル
医師として成長するために大切なこと
患者さんとの信頼関係を築く医師の心得と技術
研修医のときに知っておきたい,現場で役立つ考え方とスキル
真のエキスパートになるために!専攻医の考え方とスキル
女性医師が後輩に贈る大切なアドバイス
Chapter2 日々の業務に対するマインドセットとスキル
カルテ作成の極意
サマリー作成の心得と技術
評価される専門医サマリーの書き方のコツ
カンファレンス発表の心得
聴衆を惹きつけるスライド作成の心得と技術
学会発表で差をつけるプレゼンテーション術
Chapter3 キャリアアップを目指したマインドセットとスキル
学会活動での大切なこと―発表,交流,情報収集のコツ
学位取得に必要な心構えと研究スキル
一流研究者になるための心構えとスキル
AIを味方にして仕事を劇的に変える!
論文執筆の極意!研究成果を形にするための心得と技術
研究成果を世界へ!国際学会で成功するための心構え
理想のメンターを見つけるための心得
メンターとの信頼関係を築くための心得
一流を目指せ!大切な考え方
指導者・シニアの医師が身につけるべき考え方とスキル
学生を惹きつける講義の心得と技術
開業医として成功するための考え方とスキル
教室運営と研究グループ主催の秘訣
COLUMN 医師のキャリアと人生を豊かにするヒント集
1 外勤の心得
2 医局長の心得
3 病棟医長の心得
4 他科からの併診依頼の際の心得
5 新しい疾患を見つけてみよう!
6 家庭と仕事の両立のヒント
7 パートナーとの協力関係の築き方と秘訣
8 海外留学にチャレンジしよう!
9 趣味を持とう!
10 幸せを感じるための心の育て方
11 モチベーションが落ちたとき,どうする?
12 仕事で追い詰められたときのレスキュー術
13 人生で心が折れそうなとき,どん底脱出のための考え方と行動
14 メンターに求めること
15 休みのとり方
16 日当直の心構え
医師のリアルQ&A
Q1 オススメの書籍・講読している雑誌
Q2 勉強法や情報収集方法など
Q3 心の支えとなることば・座右の銘
Q4 若いときにもっとやっておけばよかったと思うこと
Q5 ワークライフバランスについての想い・考え方
Q6 なぜ内分泌代謝科・糖尿病内科を選んだのか
Q7 内分泌代謝科医・糖尿病内科医になってよかったと思うこと
Q8 忘れられない症例,そこから学んだこと
Q9 指導医に言われて忘れられない一言
Q10 研修医時代の痛い思い出
Q11 なんでも好きなものベスト3