株式会社 診断と治療社

【11月中旬刊行予定】 小児臨床栄養学 改訂第3版

2018年の改訂第2版刊行から8年. 小児栄養学の進歩,「日本人の食事摂取基準(2025年版)」,各種疾患ガイドラインの更新を反映し,成長・発達から疾患別栄養療法まで,小児栄養管理に必要な知識と実践を体系的にまとめた決定版.エビデンスに裏付けされたスタンダードな情報を提供.小児科医,管理栄養士,薬剤師ほかコメディカルだけでなく,小児の発育にかかわる保健師,教育や保育の従事者にも重用される1冊.
定価:
13,200円(本体価格 12,000円+税)
発行日:
2026/11/11
ISBN:
9784787827869
頁:
552頁
判型:
B5
製本:
並製
在庫:
在庫無し

序文

改訂第3版

序

 このたび『小児臨床栄養学改訂第3版』を上梓する運びとなりました.
 2011年に児玉浩子先生,玉井浩先生,清水俊明先生の編集による初版が刊行され,小児の栄養に関するこれまでにない教科書として高い評価をいただきました.2018年には,その後の小児栄養学の進歩を踏まえて,日本小児栄養消化器肝臓学会が中心となって編集作業が行われ,改訂第2版が刊行されました.それから8年が経過したことから,日本小児栄養消化器肝臓学会の公式事業として再度改訂作業を行い,新たな書籍として発刊することになりました.多忙な日常業務の中でご協力くださった多くの執筆者・関係者の皆様に心より御礼申し上げます.
 本書はこれまでと同様に,小児の栄養の基礎からさまざまな病態における具体的な栄養療法まで,実践的かつ幅広い知識を網羅し,医師だけでなく,管理栄養士,看護師,NST関係者,さらにはこどもの発育にかかわる保育士,養護教諭にも役立つテキストを目指しました.そして,「日本人の食事摂取基準」(2025年版)や各種疾患ガイドラインなど,第2版の時点からアップデートされたデータや知見を盛り込み,初学者にも理解しやすく,エビデンスに裏付けされた標準的な情報の提供を心がけました.
 近年,こどもを取り巻く環境や生活様式が大きく変化している中,今年5月に食育基本法が改正され,大人とこども双方の食育の強化などが盛り込まれました.食育の理念である「食べる力=生きる力」は,こどもたちにとってはそのまま「育つ力」となります.小児栄養に関するバイブル的な教科書である本書が,こどもの健やかな発育と健康のために役立つことを願っています.

2026年9月吉日

一般社団法人 日本小児栄養消化器肝臓学会
理事長  虻川 大樹
学術委員会(栄養委員会)担当理事  惠谷 ゆり
学術委員会(栄養委員会)委員長 東海林 宏道





初版の序

 近年,nutrition support team(NST)や食育の重要性が指摘されています.NSTは入院患者の入院期間を短縮し,患者のQOLを改善させるだけでなく医療経済上もメリットがあることが実証されています.2006年に診療報酬で「栄養管理実施加算」が新設されたことは,栄養管理が医療において重要な地位を占めたことを示しており,非常に画期的なことでした.また,質の高い医療を提供するためにチーム医療が重要であることも認識されるようになりました.最近は外来NSTも普及しつつあります.食育に関しても,食育を実践している学校では,朝食欠食率の減少,給食残飯の減少などが実証されています.これはまさに栄養が様々な疾患の予後に重要であることや,食が小児の成長・発達の土台になることが認識されていることを示しています.今まさに国をあげて,このような栄養状態改善の取り組みがなされています.小児の栄養に関する書籍・雑誌はいくつか発行されていますが,比較的簡単なものが多いように思います.しかし近年の栄養学の発展と実践の重要性から考えて,実践を念頭に置いた“基礎から近年の栄養学の発展まで”をしっかり網羅した書籍が待たれていました.
 本書は,小児の栄養の基礎から様々な疾患での栄養療法のあり方に至るまでを解説しています.非常に多くの各分野のエキスパートに,それぞれの専門的な立場からご執筆をお願いしました.日常の多忙な診療や栄養指導のなかで,本書に貢献してくださった先生方に心より感謝を申し上げます.一見,栄養と関係がないように思われる疾患においても,それぞれの疾患での栄養の重要性と栄養療法のあり方について記載されている,非常にユニークな書籍です.小児の栄養学および臨床・保健活動での実践のバイブルになると思われます.
 小児の良好な成長・発達に適切な栄養は必要不可欠であり,栄養療法が治療の主体となる疾患も多くあります.肥満・メタボリックシンドローム,痩せ,偏食,孤食は「飽食の時代の栄養不良(過食も広義の栄養不良に入る)」と考えられ,今後ますます重要な課題になると思われます.このような問題に積極的に取り組むことが,小児を健全に育てるのに不可欠です.また,本書により様々な慢性疾患でも栄養状態に留意し,栄養状態を改善することが疾患の予後や患児のQOLに大きく関与することが理解でき,医食同源を再確認することができます.
 しかしながら,食・栄養に対する実践は小児科医だけでは困難です.栄養士,看護師,保健師,栄養教諭といった方々と協力して初めて成功します.小児科医のみならず栄養士,看護師,保健師等のコメディカルの先生方にも診療・保健活動・研究などで本書を大いに活用していただき,小児の健やかな発育と健康のために役に立てていただければ幸いです.

2011年1月

児玉浩子
玉井 浩
清水俊明

目次

口 絵
改訂第3版の序
初版の序
執筆者一覧

第1章 成長・発達
 A 身体発育 惠谷ゆり
 B 運動機能・精神の発達 柳原恵子
 C 消化器官の発達 鈴木光幸
 D 食べる機能の発達 仲野道代

第2章 栄養素の基礎知識
 A 日本人の食事摂取基準(2025年版)総論 児玉浩子
 B たんぱく質 井ノ口美香子
 C 脂 質 菅沼広樹
 D 糖質・炭水化物・食物繊維 位田 忍
 E 水・Na・K・Cl 濱谷亮子
 F Ca,P,Mg,Znおよび微量元素 大野尚子・児玉浩子
 G ビタミン 瀧谷公隆 48
 H 腸内細菌とプロバイオティクス 赤川翔平
 I 保健機能食品とサプリメント 佐藤陽子

第3章 発育段階別・年齢別・階層別の栄養の基礎知識
 A 胎児期 東海林宏道
 B 授乳期における母親の栄養 佐藤雄一
 C 乳児期 上田玲子
 D 幼児期 多田由紀
 E 学童期・思春期 井ノ口美香子

第4章 栄養評価法
 A 身体計測・身体所見 井ノ口美香子
 B 血液・尿生化学検査 野口篤子

第5章 症候と鑑別診断
 A 下 痢 工藤孝広
 B 嘔 吐 田中 彩
 C 腹 痛 井上幹大
 D 吐血と下血 小池勇樹
 E 腹部膨満 佐伯 勇
 F 乳幼児期体重増加不良 前川貴伸
 G やせ(学童期・思春期) 庄司保子
 H 肥 満 内田則彦
 I 低身長 川井正信
 J 嚥下困難 細井賢二
 K 眼の異常 近藤宏樹
 L 皮膚・頭髪・爪の異常 近藤宏樹
 M 浮腫・低蛋白 木村武司
 N 呼吸・循環(多呼吸,頻脈,心不全を踏まえて) 阿部百合子
 O 筋力低下・筋痛 市本景子
 P 意識障害 倉信奈緒美

第6章 疾患別の栄養療法
 A 口腔内疾患
  ❶ 口唇口蓋裂・舌小帯短縮症 彦坂 信
  ❷ 口内炎 加藤沢子
  ❸ 唾液腺疾患 垣内俊彦
 B 消化器疾患
  ❶ 胃食道逆流症 深堀 優
  ❷ 急性胃腸炎 梅津守一郎
  ❸ 好酸球性消化管疾患 山田佳之6
  ❹ 吸収不良症候群 佐藤真教
  ❺ 短腸症 工藤博典・和田 基
  ❻ 難治性下痢症 工藤孝広
  ❼ 蛋白漏出性胃腸症 萩原真一郎
  ❽ Crohn病 清水泰岳
  ❾ 潰瘍性大腸炎 津村直弥・水落建輝
  ❿ 過敏性腸症候群 岩間 達
  ⓫ 肝炎・肝硬変 別所一彦
  ⓬ 急性膵炎・慢性膵炎 鈴木光幸
  ⓭ 慢性機能性便秘症 中山佳子
  ⓮ 周期性嘔吐症候群 日衛嶋栄太郎
 C 消化管異常 内田恵一
 D 肝移植 岡島英明
 E 小腸移植 松浦俊治
 F 代謝・内分泌疾患・染色体異常
  ❶ 先天代謝異常症
   1 アミノ酸・有機酸・脂肪酸代謝異常症 相原久人・村山 圭
   2 糖質代謝異常症 吉年俊文
   3 金属代謝異常症 児玉浩子・大野尚子
  ❷ 1型糖尿病 橘真紀子
  ❸ 2型糖尿病 和田珠希
  ❹ 肥満症・メタボリックシンドローム 原 光彦
  ❺ 脂質異常症 土橋一重
  ❻ くる病 川井正信
  ❼ 先天異常症候群 畑 彩葉・伊藤真緒
 G 食物アレルギー 今井孝成
 H 循環器疾患(先天性心疾患) 消火器滋豊
 I 腎疾患 釜江智佳子・濱崎祐子
 J 血液疾患・悪性腫瘍 三善陽子・橘真紀子
 K てんかん 奥村彰久
 L 重症心身障がい児/医療的ケア児 羽鳥麗子・桜井隆司
 M 異常妊娠が胎児・新生児に及ぼす影響 松家まどか・伊東宏晃
 N 低出生体重児 大川夏紀・東海林宏道

第7章 食行動異常への対応
 A 小 食 西本裕紀子
 B 過食・拒食 庄司保子
 C 偏食・ばかり食べ・むら食い・遊び食い 藤井葉子
 D 不規則な食生活リズム 川井正信
 E 孤 食 鳥井隆志
 F 清涼飲料水ケトーシス 佐浦龍太郎
 G イオン飲料とビタミンB1欠乏 増田 雄
 H 異食症 星 雄介

第8章 スポーツと栄養
 A 小児科医としての指導 師田 悠
 B 管理栄養士・栄養士としての指導 鈴木志保子

第9章 静脈・経腸栄養
 A 静脈栄養
  ❶ 末梢静脈栄養 角田文彦
  ❷ 中心静脈栄養 曹 英樹
 B 経腸栄養 佐々木美香
 C PEG/胃瘻と経腸栄養 藤代 準

第10章 栄養食事指導
 A 小児の栄養食事指導 西本裕紀子
 B 小児の食事・栄養相談の診療報酬制度 藤谷朝実

第11章 小児のNST
 A 小児のNST活動とチェアマンの役割 清水義之
 B 小児のNSTにおける管理栄養士の役割 林 純平
 C 小児のNSTにおける看護師の役割 石戸谷真琴
 D 小児のNSTにおける薬剤師の役割 安西佑太

第12章 小児の在宅栄養管理
 A 小児の在宅栄養管理のHPNとHEN 萩原真一郎
 B 小児がんの栄養管理 鈴木孝二
 C 在宅栄養管理における管理栄養士の役割 前田佳予子・豊田綾子

第13章 食教育
 A 食育基本法 田中弘之 454
 B 小児期の食教育における包括的アプローチ 吉池信男 456
 C 小児科医の役割 惠谷ゆり 460
 D 保育所・幼稚園・認定こども園での取り組み 野口孝則 462
 E 学校での取り組み 中村丁次 466

資 料
 A 身長・体重・頭囲・標準成長曲線 井ノ口美香子
 B 検査値一覧 野口篤子
 C おもな栄養輸液製剤と経腸栄養剤 山野由貴
 D 日本人の食事摂取基準(2025年版)データ 東海林宏道
 E 平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要 多田由紀
 F 保健機能食品とアドバイザリースタッフ 佐藤陽子
 G おもな胃瘻ボタン型バルーンカテーテルの外径サイズ・有効長・バルーン容量 藤代 準

コラム
 災害時における小児の栄養 吉池信男
 ケトン食 柳原恵子・西本裕紀子
 メディアによる子どもの栄養情報 佐藤和夫
 小児専門管理栄養士の育成を目指して 西本裕紀子
 小児の褥瘡 松尾規佐
 学校給食実施基準とその策定 原 光彦
 食事バランスガイド 松浦朋美

略語一覧
索 引

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