診断と治療
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2021年 Vol.109 No.4 2021-04-06
一般内科医が知っておきたい最新の心筋症診療
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 森田啓行
◆心筋症の定義・分類と診療のポイント
心筋症の定義と分類 筒井裕之
心筋症の最新診療 杉浦健太,他
◆心筋症の診断と治療:現状と今後の展望
心エコー検査 北田修一,他
心臓MRI検査 中田 圭,他
心筋バイオプシー 寺﨑文生,他
心筋症の遺伝子診療 久保 亨
心不全診療 坂田泰史
不整脈治療,突然死予防 樋口 諭,他
補助人工心臓と心臓移植 網谷英介
◆各心筋症における診療の実際
肥大型心筋症,蓄積性心筋症 藤野 陽,他
特発性拡張型心筋症 尾上健児
不整脈原性右室心筋症 大野聖子
左室心筋緻密化障害 市田蕗子
心アミロイドーシス 猪又孝元
心臓サルコイドーシス 滝 美波,他
周産期心筋症 神谷千津子
抗がん剤心筋症 石田純一
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
上腹部の痛みを訴えた63歳男性 徳増一樹,他
◎注目の新薬
リベルサス®(セマグルチド) 大西由希子
総 説
アスリート心とアスリート心電図 北島 敦
「心筋症」とは何か? 「心機能障害をきたす心筋疾患」の総称である.心筋症は心不全,不整脈,動脈塞栓症を主徴とすることから,心不全のコントロール,不整脈治療,心臓突然死予防,抗凝固療法が治療の基本である.画像診断の進歩により無症状・軽症の段階から「心筋症」と診断されるケースが増えてきた一方で,治療に難渋し,除細動器植込み,補助人工心臓装着や心臓移植が考慮される重症「心筋症」症例も多い.
心筋症は特発性と二次性とに大別される.特発性心筋症は原因不明の心筋症であるが,その多くは遺伝子異常により起こると考えられる.それに対して,二次性心筋症は原因または全身疾患との関連が明らかな心筋症であり,正確な原因究明と鑑別疾患が至適治療選択にとって不可欠である.また,二次性心筋症を鑑別診断することなく安易に特発性心筋症の診断を下さないよう注意する必要がある.
心筋症診療に関する最近のトピックスとして,日本循環器学会「心筋症診療ガイドライン2018改訂版」の策定,トランスサイレチン型心アミロイドーシスのピロリン酸心筋シンチグラフィによる診断および治療薬タファミジスの臨床導入,心不全に対するアンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬,SGLT2阻害薬(血糖降下薬として使用されている),イバブラジンの臨床導入などが挙げられる.また,心筋症原因遺伝子変異に関してはゲノムシークエンス技術の進歩により多くの研究成果が得られてきたが,遺伝子診断を実装へと進めるにはクリアしなくてはならない課題が山積している.
本特集では,「一般内科医が知っておきたい最新の心筋症診療」というテーマを掲げ,心筋症の定義,分類に始まり,各心筋症の最新の診断と治療のエッセンス,遺伝子診断実現に向けての課題,その他トピックスをエキスパートの先生方にご解説いただいた.さらに,左室心筋緻密化障害や二次性心筋症(心アミロイドーシス,心臓サルコイドーシス,周産期心筋症,抗がん剤心筋症など)に関してもわかりやすくご解説いただいた.一般内科医の先生方が心筋症診療の「今」を要領よく概観できる一冊になっている.心筋症診療を深く理解し,的確に実行するために本特集を御活用いただければ幸いである.
東京大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
森田啓行