HOME > 雑誌詳細

雑誌詳細

診断と治療社 | 雑誌詳細:診断と治療

診断と治療

最新の医学情報を最高の執筆陣でお届けする内科総合雑誌のパイオニア!

わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る.

新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点.

連載「視診で見抜く!皮膚疾患の診かた」「注目の新薬」など.

増刊号も毎回シャープな切り口と実際的な内容が大好評.

2色刷のビジュアルな誌面.

2023年 Vol.111 No.5 2023-05-09

甲状腺疾患アップデート:明日から役立つ最新知見

定価:2,970円(本体価格2,700円+税)

冊 

電子版はこちらからご購入いただけます.
※価格は書店により異なる場合がございます.


(外部サイトに移動します)

(外部サイトに移動します)

ページの先頭へ戻る

掲載論文

ねらい  吉村 弘

◆甲状腺疾患診療の基本
甲状腺疾患を見逃さないためのアプローチ  鈴木菜美

◆検査の進歩
甲状腺ホルモン(T3, T4)およびTSHの小児,成人,高齢者,妊婦の基準範囲  橋本貢士
TSHのハーモナイゼーション  小飼貴彦,他
甲状腺機能検査に乖離を認めた場合  西原永潤

◆Basedow病治療の新たな展開
Basedow病抗甲状腺薬治療  渡邊奈津子
Basedow病に対する無機ヨウ素治療  内田豊義
抗甲状腺薬と催奇形性  吉原 愛
Basedow病131Ⅰ内用療法  上田真由,他
Basedow病眼症の診断と治療  廣松雄治,他

◆甲状腺機能低下症治療の進歩
甲状腺機能低下症の治療  伊藤 充
妊娠希望時の甲状腺機能のコントロール  濵田勝彦

◆遺伝子異常および腫瘍関係の新知見
甲状腺遺伝子異常  杉澤千穂,他
甲状腺腫瘍の病理組織分類と遺伝子変異  菅間 博,他
低リスク甲状腺乳頭癌の取り扱い  堀内喜代美
進行・再発甲状腺癌に対する分子標的薬治療と光免疫療法  田中伸和,他

◆トピックス
薬剤性甲状腺機能異常症:抗PD-1抗体による甲状腺障害の基礎と臨床  安田康紀,他
COVID-19と甲状腺疾患  稲葉秀文

連 載
心電図は1枚の窓
様々なQRS波形を呈した72歳女性  深江学芸
注目の新薬
カナグル®錠(カナグリフロジン水和物錠)  鬼山佳祐,他
医療裁判の現場から
高齢の胃癌患者が内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後に死亡したケースにおいて説明義務違反があったとされた事例  清水 徹

臨床例
非典型的な内容物により術前診断し得なかった虫垂貯留嚢胞の1例  森園剛樹,他

ページの先頭へ戻る

ねらい

 甲状腺疾患は大きくBasedow病,橋本病の自己免疫性疾患と腫瘍性疾患に分かれる.Basedow病の診断は1986年にTRAbが臨床で使用できるようになり,血液検査で診断がほぼ可能になった.治療は,1950年代までに手術,131I内用療法,抗甲状腺薬がそろい,それ以降に新しい治療法は生まれていない.橋本病は,1922年に甲状腺ホルモン薬,1964年にレボチロキシンが発売され,高感度自己抗体検査であるTgAb, TPOAb は1990年代から臨床で使用可能になった.また乳頭癌,濾胞癌などの甲状腺悪性腫瘍は,主として手術と131I内用療法で治療されていた.その後,新しい治療法はなく,それまでの治療を洗練されたものにすることに主眼が置かれていた.
 その後,1999年から甲状腺学会を主体として,「甲状腺疾患診断ガイドライン」「バセドウ病治療ガイドライン」「甲状腺クリーゼ診療ガイドライン」など多くのガイドラインが作成された.甲状腺機能検査においては年齢別,性別,妊娠週数ごとの基準範囲が作成され,また,TSHの測定試薬間,あるいは施設間での検査結果のばらつきをなくするために検査の標準化が行われ,患者の甲状腺機能を精密にコントロールすることが進められてきた.
 Basedow病の治療に関しては甲状腺機能亢進症に対する新薬は登場していないが,抗甲状腺薬の無顆粒球症など重篤な副作用を減らす試みがなされ,また,催奇形性に関する理解も深まり安全に治療を行えるようになってきている.Basedow病眼症治療では,中等症から重症の活動性眼症患者にはステロイドパルス治療が第一選択として行われているが,insulin-like growth factor-1(IGF-1)受容体阻害抗体(teprotumumab)とTSH受容体阻害型ヒトモノクローナル抗体(K1-70)の臨床試験がわが国で2021年から開始された.また,インフリキシマブなどの分子標的薬,FcRn阻害薬も欧米では眼症に対する治験が開始されている.これらの薬剤の中には,甲状腺機能亢進症に対する効果が期待できるものもあり,新しい時代が始まりつつある.
 甲状腺腫瘍に関しては,2022年にWHO分類第5版が出版され,病理組織分類についてnon-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features (NIFTP)などの低リスク腫瘍の概念が良性腫瘍と悪性腫瘍の間に項目として作成された.また,腫瘍が早期遺伝子変異からRAS系とBRAF腫瘍に分類されるようになった.低リスク甲状腺癌の取り扱いでは,隈病院と日本医科大学で始まったアクティブサーベイランスが世界に普及しており,進行・再発性甲状腺癌はレンバチニブなどの分子標的薬治療が開始され患者の予後の改善がみられる.
 このように,一時期停滞していたようにみえていた甲状腺診療は,21世紀になってから大きく変わりつつある.本特集では,甲状腺診療の最新の知見と少し先の未来をのぞけるように企画をした.甲状腺診療に関心を持っていただければ幸いである.

伊藤病院内科
吉村 弘

ページの先頭へ戻る

当社発行の雑誌は論文単位でPDFファイルのダウンロード購入
が可能です.詳細はメディカルオンラインへ            

2024年 Vol.112
No.11 特集/外来で見逃さない危険な疾患,相談すべき症例最新号
No.10 特集/総合的な診療能力を高める 診断推論戦略Up To Date
No.9 特集/ここが知りたいアルコール性肝疾患
No.8 特集/健康長寿社会に向けた疾患予防と治療戦略
No.7 特集/スキルアップ心不全治療-診断からフォローまで
No.6 特集/大きく変貌したリハビリテーション医療
No.5 特集/日常診療で診るCKD 乗り遅れないための最新情報
No.4 特集/Choosing Wisely 内科医の賢明な選択とは
No.増刊号 特集/よくわかる!精神疾患対応 これ1冊
No.3 特集/感染症を鑑別したあとは? 非感染性腸炎を見極める!
No.2 特集/ココが変わった 肥満症診療の最前線
No.1 特集/フレッシャーズからベテランまで いま知りたい心房細動治療
2023年 Vol.111
No.12 特集/NASH/NAFLDアップデート:患者数急増時代の実践ガイド
No.11 特集/頭痛診療の新たなステージ
No.10 特集/心筋炎・心膜炎,感染性心内膜炎を診る,治す
No.9 特集/動脈硬化性疾患・脂質異常症Update
No.8 特集/原因不明で経過する発熱,不明熱患者のみかた
No.7 特集/食道癌・胃癌・大腸癌,最近の診療を知る
No.6 特集/知っておきたい関節痛のみかた・考えかた
No.5 特集/甲状腺疾患アップデート:明日から役立つ最新知見
No.4 特集/虚血性心疾患:日常診療から専門医による治療まで
No.増刊号 特集/ポストコロナ時代の感染症診療
No.3 特集/日常診療における内分泌疾患
No.2 特集/外来通院患者に行う検査
No.1 特集/知っておきたい肝胆道疾患診療の最近の話題
2022年 Vol.110
No.12 特集/日常診療でみる二次性心筋症・全身疾患関連の心障害
No.11 特集/今おさえておきたい呼吸器診療
No.10 特集/心血管病の治療薬・予防薬の進歩
No.9 特集/歯周病が及ぼす全身疾患への影響
No.8 特集/患者指導,医師のこの一言が患者を変える
No.7 特集/消化管疾患と感染の最前線
No.6 特集/下部尿路機能障害(排尿障害)へのアプローチ
No.5 特集/認知症を取り巻く現状:バイオマーカー,根本治療薬ってなに?
No.4 特集/知っておきたい血栓予防療法のエッセンス
No.増刊号 特集/明日の診療に役立つ 消化器内視鏡これ1冊
No.3 特集/かかりつけ医からみた糖尿病診療
No.2 特集/続・診断困難な痛みに向き合うケーススタディ
No.1 特集/慢性便秘症診療の最前線
2021年 Vol.109
No.12 特集/一般内科医に役立つ抗リウマチ薬の最新知識
No.11 特集/新型コロナウイルス感染症 理解と対策の現状
No.10 特集/血管炎の診断と治療:エッセンスと今後の展望
No.9 特集/オンライン診療・医療AI最前線
No.8 特集/健康食品・サプリメントを知る
No.7 特集/増えている大人の消化管アレルギー
No.6 特集/大きく進歩した造血器腫瘍の診断と治療
No.5 特集/脳卒中:内科医が知っておくべき最新診療
No.4 特集/一般内科医が知っておきたい最新の心筋症診療
No.増刊号 特集/診断と治療の手技−診察室これ1冊−
No.3 特集/輸液療法の基礎と実践
No.2 特集/最新の花粉症診療
No.1 特集/内科外来で見る急性腹症診療:見落とさないコツ